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業務改善を成功させる「要件定義」とは

情報処理推進機構によれば、「要件定義」という言葉は以下のように定義されています。

要件定義プロセスの目的は、新たに構築する (あるいは再構築する) 業務、システムの仕様を明確化し、それをベースにシステム化範囲とその機能を具体的に明示することである。また、関連する組織およびシステムに対する制約条件を明確にし、定義された内容について取得者側の利害関係者間で合意することである。

 

ここで、ポイントは2つあります。

・1つ目は、業務、システムを明確化すること

・2つ目は、利害関係者間で合意すること

 

まず知っておかなければいけない事実として、ユーザ(利用者)部門が独力で業務、システムを明確化することは極めて困難である、ということなのです。この点についてもう少し詳しくご説明します。

 

要件定義を行うには、業務を理解した上で、3つのことをバランスよく検討できないといけません。その3つとは、「要件」「技術」「予算」です。

図3

 

 

「要件」とは、お客様がやりたいと思っていること、「技術」とは、やりたいこと思っていることができるかどうか、「予算」は、やりたいと思っていることがコスト的にどれくらいかかるもので、トータルコストが予算に収まるように「要件」を調整すること、です。

 

このどれもが重要ではありますが、その中でも特に重要なのが「要件」です。

 

先ほど『「要件」とは、お客様がやりたいと思っていること』と書きましたが、その表現は実は正確ではなく、お客様がやるべきこと、というのが正確な表現になります。お客様が口に出して説明できる要件は「顕在的要件」、なんとなく心の中で思っている要件を「潜在的要件」と呼びます。顕在的要件はヒアリングすれば出てきますが、潜在的要件はいくらヒアリングしても出てきません。

 

この潜在的要件を引き出す力というのがコンサルタントには求められます。これまでの業務改善経験や創造力に基づき、お客様が何を実現したいのかを、お客様の立場に立って考えることができなければ、潜在的要件を引き出すことはできません。お客様の言う通りのシステムを作ることしかできないSIベンダーと、コミュニケーション能力の高いSIベンダーで大きな違いが出るのはこの部分です。

 

しかし、顕在的要件を正しくヒアリングして、潜在的要件を引き出すだけではまだ不十分です。最も重要なのは、業務改善の知見に基づいて、お客様にこうすべきだと提案すること、「あるべき要件」を提示できることです。

図4

 

顕在的要件も潜在的要件も、お客様が持っている要件です。しかし、お客様が持っている要件が正しいのか?という疑問にしっかり答えられなければ、正しい業務改善も、正しいシステム構築もできないのです。

 

お客様が持っている要件が正しいのかを明らかにするために、コンサルタントは自分の知見にもとづき考え抜いた「あるべき要件」を明文化して、お客様の要件にぶつけます。結果として、お客様の要件を充足する、より優れた業務プロセスができあがり、その業務プロセスを実現するための優れたシステム設計が可能になります。

 

私の13年の経験では、お客様の要件をそのまま取り入れてシステム化してしまったら、間違いなく莫大な予算がかかり、システムが崩壊します。その理由の一つとして、利害関係者が多いということが挙げられます。

 

営業部、人事部、経理部など、たくさんの部門が関係するようなシステムを構築する場合には、部門ごとに要求が上がってきます。さらに部門の中でも、部長クラスの要求と、現場レベルの要求では、要求の明確さも内容もレベル感も随分と違ってくるものです。それらすべての要求を一旦飲み込んだうえで、必要なものを取捨選択し、足りないものは創り出し、お客様にとって最適な要件とはこうだ!というものを提示できてこそ、コンサルタントの価値が発揮されるというものです。

 

自信をもって提案できるためには、徹底的に考え抜く必要があります。目標業務プロセスや外部設計資料のたたき台を作っては考え直し、作っては考え直し、限界に至るまで何十回とその作業を繰り返すことによって、細部に至るあらゆるプロセスの存在意義が明確になり、外部設計資料の細部に至るあらゆるボタンの配置の理由までもが明確になります。

 

徹底的に考え抜く作業は、血反吐が出るような苦しい作業です。しかし、その作業を経て出来上がった成果物は美しく、そして強く光り輝いているものです。考え抜いた成果物にもとづいた提案ならば、お客様の利害関係者の大半が同意してくれます。

 

そのような要件定義ができるコンサルタントを見つけることこそが、お客様が業務改善を成功させるための重要成功要因であると断言できます。

 

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  1. 2016年 6月 21日
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